
社会保険に入ってないと現場に入れない?建設業の保険加入義務
平成29年(2017年)4月1日より建設業で働く人たちの社会保険加入が必須条件となり、社会保険未加入者は現場に入れなくなりました。要するに、社会保険に加入していない人は仕事ができなくなってしまったということです。
社会保険加入の強化の背景
この社会保険加入推進のうごきは、平成24年(2012年)から始まりました。
管轄長官の国土交通省では、平成24年に建設業で働く労働者の社会保険加入対策をスタートし、ガイドライン(「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」)でも、下記のとように提示したのです。
「遅くとも平成29年度以降においては、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めない」
この背景にあるのが、平成23年(2011年)時点で建設業の労働者のおよそ40%が社会保険に加入していないといった実態。すでに建設業界は人手不足が問題となっていますが、今後さらに少子化が進むこともあり、今以上に人手不足が深刻化することが危ぶまれたのです。
社会保険加入強化のメリット
社会保険加入の強化対策によって、どんなメリットが考えられると思いますか?
まずひとつめが、建設業で働く労働者の処遇を向上させること。技術を持った労働者が適切な処遇を受けられるようになることで、深刻な人手不足を和らげることを期待したのです。
もうひとつのメリットが、建設業界全体の均衡を保つこと。労働者をきちんと社会保険に加入させて社会保険料を負担している真っ当な事業所と、そうでない事業所の不平等を改善することも狙いのひとつです。そもそも建設業界に社会保険未加入の事業所が多いということ自体、経済社会において大きな問題ですから、それを改善することも目的だと言えるでしょう。
「特段の理由」とは?
国土交通省のガイドラインにある「特段の理由」とは一体どんなことなのでしょうか?国土交通省のサイトで調べてみました。
- 現場に入場した時点で60歳以上で厚生年金保険に加入していない場合
- 伝統建築の修繕など工事の施工に必要な特殊技能を持ち、入場しないと施工が困難な場合
- 社会保険の加入手続き中など今後確実に社会保険に加入する見込みがある場合
※ 参考資料:「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における現場入場の取扱いについて 〜一問一答〜
上記のような場合は特別な理由があるとして、現場への入場が認められます。
まとめ
社会保険未加入の企業や労働者にとって、少々厄介なルール改正なのかもしれませんが、これも全て建設業の労働者を守り、また建設業界をより良くするための対策であるということを頭に入れておきたいですね。相談できる専門家もいますから、ぜひ前向きに考えてみてはいかがでしょうか。